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2021年01月10日

2020都知事選挙を振り返る


 昨年の65日に実施された東京都知事選挙について
希望のまち東京をつくる市民選挙対策本部は、討議に基づいて38ページに及ぶ選挙総括を8月16日までに作成し、この選挙に関係された皆さんに配布しました。全体のウェブ公表はしない方針ですが、その中から、前文、候補であった宇都宮さん本人と本部長を務めた私の個人責任で書かれた総括の部分だけを公表しておきます。

 

  2020東京都知事選総括集

2020年8月16日


希望のまち東京をつくる市民選挙対策本部

 


はじめに―2020東京都知事選総括集発表にあたって

 

 この選挙総括は、2020東京都知事選において、宇都宮けんじ候補の当選をめざして活動をともにした市民選対本部メンバーの意見と討議結果、アンケート結果などを踏まえて、2度の全体の会議、各選対のグルーブごとの討論なども踏まえ、今後の都知事選挙に役立てる目的で作成されたものです。

 

第1、東京都知事選候補者・宇都宮健児氏のあいさつ

――2020東京都知事選を闘い終えて

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皆さん、今回の都知事選、本当にご苦労様でした。また、本当にお疲れ様でした。

「2020都民政策会議」(後に「政策で都知事を選ぶ!三多摩の会」と改称)や「宇都宮都政を求める会」などから2020都知事選への出馬要請を受け、徐々に出馬に向けた決意を固めていたのですが、5月25日、新型コロナウイルス緊急事態宣言が東京都で解除されましたので、ツイッターで都知事選出馬の意思表明を行いました。私にとっては3度目の都知事選出馬ということになります。

そして、5月27日午前11時から都庁記者クラブで都知事選出馬の記者会見を一人で行いました。この記者会見で私は「今回の都知事選は都民一人ひとりの生存権がかかった選挙である」ことを強調しました。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う政府や東京都による自粛要請や休業要請により、多くの都民が仕事を失い、住まいを失い、営業継続が困難となり、命と生活が脅かされていたからです。

記者会見では「3つの緊急政策」と「重視する8つの政策」を発表し説明をしました。3つの緊急政策の内容は、①PCR検査体制の抜本的強化、病院や保健所・医療従事者に対する財政支援の強化、病床・医療機器の充実など、新型コロナウイルス感染症から都民の命と健康を守る医療体制を充実することと自粛・休業要請に対する補償を徹底して行うこと、②事実上の民営化につながる都立・公社病院の独立行政法人化の中止と、これまで以上に充実強化すること、③人の不幸の上に成り立つカジノの誘致計画を中止すること、でした。

記者会見の中で、1年延期された東京オリンピック・パラリンピックに対する対応についての記者からの質問に対しては、感染症対策の専門家が来年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が困難であると判断した場合は、IOC(国際オリンピック委員会)に中止を働きかけ、中止になったことで浮いた予算はコロナ災害で被害にあった都民の支援に回す、と答えました。

また、今後2016年の都知事選のように野党共闘の候補者が立候補した場合はどうするかという記者からの質問に対しては、今回は出馬を取り止めることはしないと答えました。

この都庁記者クラブでの記者会見の後、立憲民主党、日本共産党、社民党、新社会党、緑の党などから支援していただくことになりました。また、多くの都内の市民団体や労働団体からも支援していただくことになりました。2020都知事選で支援していただいた立憲民主党、日本共産党、社民党、新社会党、緑の党、国会議員の方々、市民団体・労働団体の皆さんに対し、心より感謝申し上げます。

また、都知事選を支えていただいた海渡本部長、岡田事務局長をはじめ宇都宮市民選対の皆さんとボランティアの皆さんに対しても心より感謝を申し上げます。宇都宮市民選対の中には、2012年、2014年の都知事選に続き今回の都知事選も含めて3度の都知事選を支えていただいた方々がたくさんいます。市民選対の皆さんは私の誇りでもありますし、皆さんと一緒に3度の都知事選を闘えたということは大変光栄に思っています。

今回の都知事選は、コロナ渦の選挙であり、感染防止のため3密を避けながらの選対事務所の運営や街頭宣伝、ネットやSNSを重視した選挙運動など異例な都知事選でした。また、2012年、2014年の都知事選には行われたテレビ討論が一度も行われなかったことも異例なことでした。

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(コロナ対策について何度も会見を開き、公開質問もしました。)


このように大きな制約が課された中での異例の都知事選でしたが、「3つの緊急政策」「重視する8つの政策」をはじめとして、都政が抱える課題を一定程度明らかにし争点化できたことは、大きな成果だと思っています。

また、都知事選を通じて支援していただいた政党の国会議員や地方議員と市民団体・労働団体の共同・協力行動が広がり新しいつながりができたことは、次のさまざまな運動につながる都知事選になったのではないかと思っています。

都知事選の結果は、残念ながら今回も次点でした。しかしながら、私は選挙は一つの社会運動だと思っています。私は今後も都政を監視し改革する運動は続けていきますし、私が都知事選で掲げた政策課題を実現する市民運動も続けていく決意です。

 

第2、宇都宮選対本部長・海渡雄一氏のあいさつ

私は、これまで、宇都宮さんが挑戦された第1-3(三回目は告示前日に出馬を取りやめ。)の選挙にも選対メンバーとしてかかわってきました。

525日にツイッターで宇都宮さんの出馬表明を知った直後から、私は、個人的にツイッターで支持表明をし、宇都宮さんの「人となり」や選挙政策などをネットで宣伝していました。宇都宮さんが都庁で記者会見された後に、直接お電話をいただき、65日の選対会議から出席しました。7日の宇都宮さんと立憲民主党の手塚氏、共産党の小池氏との打ち合わせに、宇都宮さんに請われて、岡田さんと一緒に同席しました。その直前に宇都宮さんから選対本部長を引き受けてほしいと依頼され、承諾しました(正式の本部長任命は15日でした)

その後のZoom選対会議8,10,12,15,16,17日の会議に出て、選対本部事務所が開かれた17日以降は、他に動かすことのできない裁判期日などのない限り、選対本部に詰めるようにし、また、支援政党との選挙対策会議には必ず出席していました。

選挙には勝てませんでしたが、この選挙戦を通じて宇都宮さんの政策を広く訴えることができました。たくさんの新しい出会いがあり、感動がありました。後半に、コロナ対策の財源論や小池都政のコロナ対策に疑問を提起するような活動に取り組み、政策的な議論を活発化することができたのではないかと感じています。また、道路建設、築地やカジノ、低空飛行など重要な政策にもスポットライトを当てることができました。

選挙を通じて、野党各党と市民運動の垣根が低くなり、共同の取り組みが深められました。各地の得票率をみると、もともとの地域性もありますが、協働の取り組みが進んだところは高い得票が得られており、選挙運動に効果があったことがわかります。

今回はコロナ禍のもとでの選挙であり、街宣に大きな制約があり、ネット戦略に力を入れました。ネットチームの努力により、ズーム、ツイッター、インスタグラム、フェイスブックなど多様な媒体に取り組み、若者や女性の支持を高めることに大きな力があったと思います。テレビではなくネットから情報を得ている人たちにはある程度訴求でき、一定の成果を上げることができたと思います。

4日夜の都庁前でのファイナル演説、本当にやってよかったです。感染者数が連日100名を超す中で、ブルーに染められたままの都庁に向けて行われた演説は、この選挙を象徴するものになったと思います。選挙後にお会いした野党の幹部の皆さんも、この演説に感動したといわれていました。この選挙をともに闘った出自の異なる多くの仲間たちの思いが一つになった瞬間だったと思います。

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今回はコロナの問題があり、事前に選挙について議論ができませんでした。前回の選挙の時は告示日の何週間も前から事務所を借りて準備していたのですから、今回の準備の難しさは明らかでした。また、選対メンバーが一度も一堂に会したことがない状態で、ズームで会議をやるという変則的な方法で準備を始めざるを得ませんでした。選挙活動もとてもやりにくかったですが、今までとは違うやり方をしたので、今まで届かなかった人々にも声が届いたかもしれません。

市民選対がおよそ四つの団体の合作でできており、内部に複雑な問題をはらんでいる中で、本部長の私は、後から来た人間であり、全体を把握している宇都宮さんは街宣に出られているという状況で、状況把握が難しく、しばらくは混乱続きでした。

結果的には野党の共同の支援が受けられましたが、偶然の要素もあり、次にやるとすれば、もう少し早めにいろいろな準備を始める必要があると思います。今回はコロナの問題があって、選挙の相談をすることも、また事前の決断も難しかったとは思いますが。

ポスターやチラシは結果的には良いものができたと思いますが、ひやひやする瞬間が多々ありました。しかし、結果的にはメンバーが真剣に検討して、結果的にはどんどん改善されていきました。

れいわ新選組・山本陣営と協力できなかったことは、今後に課題を残しました。次を考えるとした場合には避けて通ることができない課題です。

組織的なアンチキャンペーンとして、「都庁前に慰安婦像が立つ」という宣伝がなされました。どの程度の影響があったかはわかりませんが、「ドイツのように過去をしっかり反省することが必要だという話をしたもので、都政の課題として提起した事実はないこと」を宇都宮さんの口から話してもらうべきだったと反省しています。財源論の部分は、MMT理論や都の地方債など専門家を交えてきちんと討議する時間が欲しかったです。

コロナ感染症対策についても、ある程度は専門家の協力が得られましたが、組織的な支援が必要でした。

選対内部の情報の流れが、過去の経緯も絡んで極めて複雑で、本部長の私も完全に把握できていなかったことを認めざるを得ません。選対本部に詰めるようになっても、最初の一週間くらいは、様々な宣伝物の作成、街宣やズーム街宣の組み立て、メディアや様々な団体からの問い合わせの対応に忙殺され、しっかりとした選挙戦略を立てる時間がありませんでした。

後半戦は、政策論争を深化させ、ネット討論、さらにはテレビ討論の実現を求めていきました。記者会見を開いたりもしましたが、スポーツ紙とネットメディアは取り上げてくれても、通常の新聞メディア、テレビメディアには全く取り上げられませんでした。現職が選挙活動を放棄し、現職としてテレビに出続けるという異常な選挙戦になりました。メディア環境の正常化は、次の選挙を展望するときに最優先の課題でしょう。

宇都宮さんが出馬の記者会見をされてから、投票まで40日たらずでした。最初は選挙事務所もなく、ズームで会議をするところからの出発でした。多くの市民と政党からの支援の輪が広がり、数々の感動的な出会いがあり、宇都宮さんの訴えに感動できる選挙戦でした。宇都宮さんの本気で東京を変えたいという思いが、たくさんの人々に感動をもたらし、都政を変える運動を広げることができました。ネットには、多くのビデオとバナーがあふれ、最後には#Iamwith宇都宮けんじをトレンドに入れることができました。

毎日のように選対では大小の問題が起こり、非力な選対本部長では解決が困難で、多くの皆さんにご迷惑をかけ、身が細る思いでした。思い出深いのは2号ポスターです。大激論で作ったポスターでしたが関係者の協力で、とても良いものをつくることができました。

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次にやるときがあれば、もっと早くから準備を始めることが必要です。組織体制を整え、情報の流れをより単純化し、わかりやすくすることも大きな課題です。最後に、非力な選対本部長を支えてくださった、この選挙に参加された選対メンバーと各地の運動員、ボランティアの皆さんに心から感謝します。ありがとうございました。また、お会いする日も近いことを念じてご挨拶とさせていただきます。





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