秘密保護法

2019年10月11日

秘密保護法制定から5年を総括する

   2018年12月6日

秘密保護法対策弁護団 第2回総会 報告

秘密保護法制定から5年を総括する

                    秘密保護法対策弁護団 共同代表 海渡雄一

内容

1 秘密保護法は廃止されるべきである.. 1

2 民主主義と国家安全保障.. 3

3 法と運用基準では秘密の恣意的指定を防ぐことができない.. 5

4 ツワネ原則の定める秘密指定の基準の在り方.. 6

5 アメリカの秘密指定の基準に関する規定.. 8

6 秘密の指定有効期間と解除.. 9

7 秘密保護の刑事的規制について.. 10

8 独立した第三者機関の不在.. 12

9 通報制度の不十分性.. 16

10 人権侵害を生む適性評価.. 17

11 結論.. 18

付録 独立第三者機関の構想(三宅弘弁護士11.6院内集会レジュメより抜粋).. 18

 

1 秘密保護法は廃止しなければならない

<なぜ、私たちは秘密保護法の制定に反対したのか>

201312月6日、特定秘密の保護に関する法律(以下「秘密保護法」という)が制定され、20141210日には施行された。その時から5年が経過した。

私たちは、同法に対して、法案段階から再三にわたって反対の意見を表明してきた。その主な理由は、同法に、「特定秘密」の範囲が広範であり、また極めて曖昧であること、そのため、「特定秘密」の指定に当たって、行政の恣意が働く余地が極めて広いこと、このような情報が漏えいすることに関DSC04528
して、処罰範囲が広く、国会の行政に対する監視機能が空洞化するおそれが高いこと、かつ、刑罰が重いことから、言論の自由、知る権利を侵害するおそれが大きいこと、取扱者の適性評価制度は、プライバシー侵害性が極めて高いことなどといった多数の問題があったからである。


我々は、法制定の三ヶ月後、2014年3月12日に「秘密保護法対策弁護団」を結成し、廃止運動を進めると同時に、この法律が弾圧法規として使われたときの態勢を整えるべきことを訴えた。

20141014日「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を図るための基準」が閣議決定された。

同法成立後も日弁連は、「まずは本法を廃止し、あらためて法律の必要性を含めた国民的議論を行うべき」であり、また、「仮に、国民的な議論を経た上で法律が必要とされる場合であっても、ツワネ原則に則し、国民の知る権利及びプライバシーの保護の規定を明文化すべきである」と考え、繰り返し意見を述べてきた。(2014年9月19日付け「特定秘密保護法の廃止を求める意見書」など)。私たち弁護団も、同じ立場である。

 

<特定秘密保護法の制定は公安警察の悲願であった>

公安警察のトップから、安倍総理の側近に登り詰めた、北村滋内閣情報官こそが特定秘密保護法と共謀罪制定の牽引車であった。北村滋「外事警察史素描」(講座警察法3巻 2010年頃執筆)には、次のような記載がある。

「これらの防諜法規を適用し、昭和一六年一O月、警視庁は、ドイツ等の新聞社の特派員として八年聞にわたって我が国で活動し、我が国の政治、経済、軍事等の機密情報を収集し、ソ連に報告していたドイツ人リヒアルト・ゾルゲを逮捕するとともに前後して彼を中心とする諜報団の関係者を逮捕しだ。

ゾルゲらは、日本が北進してソ連攻撃を行うか、南進して米英との聴争に向かうかの状況判断に全力を集中し、また、ソ連擁護の立場から、南進論へと政策を志向させるべく活動した。ゾルゲによってソ連に報告された情報には、独の対ソ攻撃予定、日本の独ソ職不参加等の重要なものが含まれており、最終的に検挙には至ったものの、その被害は極めて甚大であった。

敗戦を防諜活動機能の剥奪と捉える北村滋内閣情報官の歴史観こそが、安倍政権の改憲姿勢の根幹である。北村氏は、日本の敗戦を次のように捉えている。

「終戦により外事警察を取り巻く環境は一変した。ポツダム宣言は我が国において軍国主義を支持した権力及び勢力の永久の除去について言及した。

10月4日、司令部から「政治的、公民的及び宗教的自由に対する制限の撤廃に閲する覚書」が発せられた。この覚書は、政治的、公民的及び宗教的自由に対する制限ならびに人権、国籍、信教ないし政見を理由とする差別を撤廃することを目的とするものであったが、①一切の秘密警察機関及ぴ言論、出版、映画、集会、結社等の検聞ないし監督に関係する一切の機能の停止、②内務太臣以下の特高警察関係全職員の罷免を行うべきこと等を内容とするものであった。

当時の東久遁宮内閣は、内務大臣以下全国の警察首脳部が一斉に罷免され、特高警察が廃止されては、内閣として国内の治安の確保に責任が持てないなどの理由から、翌五日総辞職した。

内務省においては、この覚書に基づき、翌六日を期して全国一斉に外事審察を含む特高警察の機能を停止するよう全国地方庁に指示をし、罷免されることとなった警保局長以下の官吏は、四日付けで辞表を取りまとめ、内務大臣に提出した。」

 「我が国の占領終了、独立とともに再生した外事警察は、戦前・戦中からの対諜報活動に加え、国際テロ、朝鮮による日本人拉致容疑事案、大量破壊兵器関連物資等の不拡散対策といった新たな課題にも取り組んできた。

こうした謀題に対応するため、警察庁及び都道府県警察における外事警察の機構面の整備も進められてきた。一方、権限面では、国際社会が協調して対策を講じる必要性が強いテロ対策や安全保障貿易管理に関する法令等の整備は情勢の変化に対応して一定程度進められてきたものの、外事警察の本来の役割である対諜報活動に関しては、我が国の機密を保護するための防諜法規が未だ整備されないなど、決して十分とは言えない状態にある。

これを読めば、特定秘密保護法の制定が、敗戦によって治安維持法と軍機保護法を失った公安警察=特高警察の悲願であったことがわかる。

 

<秘密保護法対策弁護団の歴史的役割>

秘密保護法は、戦後レジームを覆す法システムとして導入された。日本を戦争する国に作りかえようとする安倍政権の政策が続く。今後も、このような動きに抗し、民主的な政治過程の実現と、国民の知る権利の保障の充実のためには、秘密保護法の廃止を求めながら、関連する法制度の抜本的見直しを求め続けることは不可欠である。同時に、この悪法が真に市民に牙をむくような時に、これに対して立ち塞がる弁護士の陣形を築き、人権侵害の防波堤を築いておくことが必要である。

以下、特定秘密保護法の施行5年を総括し、国家秘密をめぐる現行法制の問題点と規制のあり方について論ずる。

 

2 民主主義と国家安全保障

 <国家安全保障のために真にやむを得ない国家秘密は認めざるをえない>

民主主義社会において、秘密はどの範囲で認められるのだろうか。国民主権の原則の考え方からすれば、国家の保有する情報は全て国民のものであり、国民のものである以上、国民に対して全て公開するべきではないだろうか。

現在の世界が国家主義を前提としている以上、国家間の対立による国家、国民の危機というものを想定しなければならない。国家情報の全面公開を推し進めると、国家の安全保障が危機に瀕し、国民の生命、身体、財産等が損なわれることになる場合もあり得る。したがって、国民の知る権利を最大限保障した上で、国家安全保障のために真にやむを得ない国家秘密は認めざるを得ない。

日弁連では、ツワネ原則に則した、国民の知る権利及びプライバシーの保護の規定を明文化する情報の自由基本法の実現を求めてきた[1]。「この法律は、国民主権の下において、公的情報は本来、国民の情報であるとともに公的資源であり、この公的情報を適切に公開、保存することが市民の知る権利に資するとともに民主的な政治過程を健全に機能させることに鑑み、憲法第21条第1項の保障する市民の知る権利を具体化し、かつ発展させる法律として制定される。この法律は、公的情報の公開、保存及び取得に関し、基本理念を定めるとともに、国及び地方公共団体等の責務を明らかにする。また、公的情報の公開、保存取得の基本となる事項を定めること等により、公的情報の適切な公開、保存を総合的に推進し、もって、国民が主権者として民主的な政治過程に一層参加することができるとともに、市民に必要な情報が行き渡る社会の実現に寄与することを目的とする。」とされている。その概要は添付のプレゼンのとおりである。

ツワネ原則は、「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」の通称であり、世界70か国以上の500人を超える専門家により、2年以上かけて起草され、20136月に南アフリカツワネで採択された。ツワネ原則は冒頭の「本原則が起草された背景と理論的根拠」で以下のように説明している(日弁連仮訳)。

「国家安全保障と国民の知る権利は、しばしば、対立するものとみなされる。政府は国家安全保障上の理由から情報を秘密にしておきたいと望み、一方で国民には公権力が保有する情報に対する権利がある。この2つの事柄の間には、時として緊張関係が存在する。しかし曇りのない目で近年の歴史を振り返ると、正当な国家安全保障上の利益が最大に保護されるのは、実際には、国の安全を守るためになされたものを含めた国家の行為について、国民が十分に知らされている場合だということがわかる。」

知る権利が個人の幸福追求権の実現にとって不可欠であると同時に、プライバシーの権利と並んで民主主義の基盤であることを踏まえれば、上記の緊張関係は、「民主主義」と「国家安全保障」との間の緊張関係とも言うことができる。そして、正当な国家安全保障が図られるのは、むしろ国民の知る権利の保障が充実し、民主主義が機能している場合においてなのである。例えば、ダニエル・エルズバーグらがベトナム戦争の拡大の契機となったトンキン湾事件等を含むに関する極秘報告書(ペンタゴン・ペーパーズ)を公表したことで、第2次トンキン湾事件がアメリカ政府の自作自演であったことなどのベトナム戦争の真相などが国民に知られ、アメリカ国民は戦争を遂行し続けるかどうかについて、これらの情報をもとに政策決定を下すことができたのである。この事例は、国家安全保障に関わる情報が公表されたことによって、正当な国家安全保障が図られた事例であるといえる。

 

<秘密情報の肥大化は民主主義を害し、国家安全保障も害する>

 「真にやむを得ない国家秘密」は、「知る権利」と「国家安全保障」との均衡の上に成り立つべきものである。しかし、戦争や大規模テロなど国家安全保障が著しく危険に晒された出来事が発生したと国民が受け止めるときには、「国家安全保障」への国民的要求が異常に高まり、均衡が崩壊して、「真にやむを得ない国家秘密」が過度に拡大される傾向にある。その最も顕著な例が、2001年9月11日の同時多発テロ後のアメリカである。自国を攻撃されることのなかったアメリカが、テロ攻撃の対象とされたとき、アメリカ国民の意識は、一気に「国家安全保障」の強化に向かい、10月に愛国者法を成立させた。愛国者法ができ、インターネット上のプライバシー保護を否定する方向に立場に変わった。スノーデン氏が告発しているのは、まさにこの転換についてである。アメリカでは、この時期から「極秘(トップシークレット)」の数が爆発的に増加した。日本でも、同年12月、自衛隊法が改正され、秘密保護法に先行する形で秘密指定が行われるようになった(旧自衛隊法96条の2、122条等参照)。

アメリカの秘密国家社会を報告し書籍「トップシークレット・アメリカ」では、「秘密への強迫観念的な依存は、かえってアメリカという国を危うくしている。それは、最も害が少ない形においても、あまりにたくさんの情報が機密にされたために、そうすることで守ろうとしたシステムをかえって動けなくしてしまっている。最も危険な形では、機密を扱う資格を持った人たちが自分たちの不正行為を隠すために機密指定が使われたり、または意図せずに民主主義を傷つける結果になっている。」と述べられている[2]。国家安全保障を高めるためにも、秘密は真に必要なものに数を限定して管理しやすくするべきであり、「真にやむを得ない国家秘密」は、国家の存立の基盤に関わる軍事的情報に限定されなければならない。

情報管理の観点からも、秘密情報の肥大化は望ましくない。テクノロジーの飛躍的進歩により、情報を収納する機器が小型化し、また、膨大な量の情報が瞬時にして世界中に拡散できる情報環境になった今日、管理しやすい反面、漏えいのリスクも著しく高まった。極秘情報が外部に漏えいし世界に拡散するならば、これを隠していた国、政府に対する不信は一気に高まり、政治的経済的に取り返しのつかない混乱を生じるかもしれない。極秘情報を極力少なくすること、極秘情報を極力作らないで済む政治を行うよう務めることこそが重要となっている。

民主主義国家においては、公務は、国民による不断の監視と、公共的討論の場での批判又は支持とを受けつつ行われるのが原則である。それは国家安全保障という領域の公務であっても異ならない。

 

3 法と運用基準では秘密の恣意的指定を防ぐことができない

 2013年12月に成立した特定秘密保護法は、戦後いくどか制定が試みられてきた「国家秘密法」「スパイ防止法」の制定が、実現したものと評価できる。その仕組みについて、その骨格と根本的な問題点をまず説明する。

政府機関の長は特定秘密の指定の権限をもつ(3条)。特定秘密の指定は、法別表と運用基準によって細目が定められている。特定秘密は防衛省が管轄する安全保障に関する情報、外務省が管轄する外交に関する情報、警察庁が管轄するテロリズム対策と特定有害活動の四分野に分類される。法の別表と運用基準を総合しても、秘密指定のできる情報は極めて広範であり、恣意的な特定秘密指定の危険性が解消されていない。

 また、秘密保護法には、後述するように、違法・不当な秘密指定や政府の腐敗行為、大規模な環境汚染の事実などを秘密指定してはならないことを明記すべきであるが、法にはこのような秘密指定を禁止する明文規定がない。

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(ツワネ原則の起草者モートン・ハルペリン氏と西山太吉氏)

 政府は、運用基準において、行政機関による違法行為は特定秘密に指定してはならないことを一応明記した。このことは評価できるが、本来、法や政令のレベルで決めるべきことである。しかし、運用基準ではあっても、今後ジャーナリストや市民が違法秘密を暴いて摘発されたときには、無罪を主張する法的根拠となりうる。私たちの強い批判の前にして、このような修正がなされたことは、この法の中核部分に根本的欠陥があることを浮き彫りにしたものといえる。

 

4 ツワネ原則の定める秘密指定の基準の在り方

<秘密指定が許される情報のカテゴリー>

 実際に法制度として秘密指定の基準を定める際には、国家の保有する情報をカテゴライズし、カテゴリーごとに、個別具体的に漏えいされた場合及び濫用的指定が行われた場合の、民主主義及び安全保障の観点からのリスク評価を行う必要がある。この点、ツワネ原則が、「真にやむを得ない国家秘密」として、秘密指定を認める情報のカテゴリーは、原則9(a)に以下のとおり列挙されている(日弁連仮訳)。

        カテゴリー1

「戦略上有効である期間中の、進行中の防衛計画や作戦、状況に関する情報」

        カテゴリー2

「通信システムを含む兵器システムその他の軍事システムの製造、性能、使用についての情報」

        カテゴリー3

「国土や重要インフラ又は重要な国家機関を、脅威または妨害工作や武力の行使から護衛するための具体的な手段に関する情報で、機密であることでその効果を発揮するもの」

        カテゴリー4

「情報局の活動、情報源、手段に関連又は由来する情報で、国家安全保障の問題に関するもの」

        カテゴリー5

「外国や政府間機関からとくに極秘を期待されて提供された国家安全保障の問題に関する情報、及び他の外交上のコミュニケーションで提供された国家安全保障の問題に関する情報」

 

<秘密指定が禁止される情報のカテゴリー(ネガティブカテゴリー)>

 一方、情報の種類は多種多様である以上、このようにカテゴリーを定める方法で「真にやむを得ない国家秘密」を画する方法には限界がある。そこで、ツワネ原則では、原則10において、一定のネガティブカテゴリーとして「公開することが望ましいと強く推定される情報又は公開による利益が大きい情報のカテゴリー」として、以下のとおり定められている(日弁連仮訳)。

        ネガティブカテゴリー1

「国際人権法及び人道法上の違反」

        ネガティブカテゴリー2

「人間の自由と安全に関する権利の保護、拷問及び虐待の防止、生存権の保護」

        ネガティブカテゴリー3

「政府の構造と権力」

        ネガティブカテゴリー4

「軍事力行使又は大量破壊兵器の入手の決定」

        ネガティブカテゴリー5

「監視」

(例)あらゆる種類の監視に関する全体的な法的枠組み

(例)監視を行う権限を付与された機関についての情報及びそのような監視行為の利用についての統計

(例)違法な監視が行われた事実

        ネガティブカテゴリー6

「財務情報」

        ネガティブカテゴリー7

「憲法・法令違反及びその他の権力濫用に関する説明責任」

        ネガティブカテゴリー8

「公衆衛生、市民の安全又は環境」

 

<その他の指定の基準 「民主主義社会において必要な」>

 以上のような「秘密指定が許される情報カテゴリー」及び「秘密指定が禁止される情報のカテゴリー」により、当該情報の秘密指定の是非について大枠での判断がなされた上で、当該情報の秘密指定について具体的にその必要性及び相当性が吟味されることとなる。ツワネ原則においては、原則3が以下のように定めている(日弁連仮訳)。

「政府が、その情報の制限が、(1)(a)法に基づき、かつ(b)民主主義社会において必要で(c)正当な国家安全保障上の利益を保護するためであると明示することができない場合、また(2)情報制限の妥当性についての独立監視機関による、そして裁判所の全面的検討による、速やかで、十全で、アクセス可能で、かつ効果的な調査を含む、職権濫用を十分に阻止するための規定を示すことができない場合は、いかなる国家安全保障上の理由に基づく情報への権利制限もできない。」

そして特に(1)(b)「民主主義社会において必要である」の要件については、(i)その情報を公開すれば正当な国家安全保障上の利益を重大に害するという現実的かつ特定可能なリスクがなければならない、(ii)情報を公開することによる損害のリスクが、情報を公開することによる総合的公益を上回らなければならない、(iii)制限は比例の原則に従わなければならず、かつ損害が保護するための最も制限の少ない手段でなければならない、(iv)制限することで情報に対する権利の本質を損なってはならない、というように細分化されて定められている。

さらに(1)(c)の「正当な国家安全保障上の利益」については、「その利益の真の目的と主たる効果が、国際法・国内法に沿って国家の安全を守ることにある場合を指す。国家安全保障上の利益は、その本来の目的と主たる効果が国家安全保障に関係のない利益を守るため、たとえば政府や官僚を恥辱又は悪事の暴露から守るため、人権侵害、その他のあらゆる法律違反もしくは公共機関の機能に関する情報の隠ぺいのため、特定の政治的利益、党派又はイデオロギーの強化又は維持のため、若しくは合法的な抗議行動の抑圧のためなどであった場合、正当ではない。」と定義されている。

 

<表現の自由特別報告者の指摘>

 表現の自由に関する国連特別報告者のデイビッド・ケイ氏は、日本の訪問調査後にまとめられた報告書において、日本政府に対して、「その公開によって日本の安全保障の存立を脅かすことのない情報の秘密指定の可能性を避けるための継続的な努力と警戒」を求めている。デイビッド・ケイ氏は、日本調査の報告書45項において、以下のように指摘している[3]

「まず、人権委員会が2014年の定期レビューで指摘したように、特定秘密保護法は特定秘密や秘密指定の必要事項となる事柄を適切に定義付けていない。政府の運用基準は、特定秘密として指定されるべき情報を4つの分野(防衛、外交、特定有害活動、テロ活動防止)に区分しているが、副カテゴリーはいまだに広義すぎる。」「法律に明記されている4つの秘密区分が『重要で』『関連性がある』といった指定が繰り返し使われていることに危惧する。」

この指摘からも明らかなように、秘密指定が許される情報カテゴリーが抽象的になっている原因のひとつは、「重要」、「関する」といった幅を持った文言が多用されているからである。こうした不明瞭な文言を極力除外するとともに、秘密指定が禁止される情報のカテゴリー(ネガティブカテゴリー)を設けることが不可欠である。

 

5 アメリカの秘密指定の基準に関する規定

 先進各国の秘密指定の基準に関する規定が国会図書館によって調査されているが、[4]ここではこの中からアメリカの仕組みを紹介する。

1 原機密指定(Original Classification)とは、国家安全保障のために情報の漏えいから保護する必要のある情報を最初に決定する行為であり(大統領令6.1(ff)項)、次の5つの条件を満たす必要がある。

連邦政府により保有・作成・管理されている情報のうち

大統領令1.4条で定める類型(下記参照)に該当する情報で(a)軍事計画、武器システム又は作戦に関する情報(b)外国政府情報(c)インテリジェンス活動(秘密活動含む)、インテリジェンスに関する情報源、方法又は暗号に関する情報(d)機密情報源を含む連邦政府の外交関係又は外交活動に関する情報(e)国家安全保障に関連する科学的、技術的又は経済的事項に関する情報(f)核物質又は核施設に対する安全防護策に関する連邦プログラムに関す

る情報(g)国家安全保障に関連するシステム、施設、社会基盤、プロジェクト、計画、防護サービスの脆弱性又は能力に関する情報(h)大量破壊兵器の開発、生産又は利用に関する情報

正当な権限によらずに開示されたときには、国家安全保障上の利益に損害がもたらされる結果が生じることを、原機密指定者が合理的に予期し得ると決定し、かつ、その損害を特定又は記述できる場合には、

原機密指定者が秘密指定を行うことができ(大統領令1.1(a)項)

指定の際には、機密解除を行う特定の期日又は条件を定めなければならない(大統領令1.5(a)項)

 

        ただし、次の目的で行う機密指定は禁止されている(大統領令1.7(a)項)。

(i)        法令違反、非効率性の助長又は行政上の過誤の秘匿

(ii)       特定の個人、組織又は行政機関に問題が生じる事態の予防

(iii)      競争の制限

(iv)      国家安全保障上の利益の保護に必要のない情報の公開を妨げ、又は遅延させること

 

6 秘密の指定有効期間と解除

 法4条は秘密の解除と有効期間について定めているが、特定秘密を最終的に公開するための確実な法制度となっていない。30年以内の保存期間のものであれば、闇の中で廃棄してしまうことが可能な仕組みとなっている。公文書管理法は2009年に制定されたが、多くの特定秘密が市民の目に触れることなく廃棄されることとなる可能性がある。このことを指摘したのが、後述する平成29年衆院情報監視審査会報告書である。

 アメリカでは複数の秘密指定解除の仕組みがある。なお、そこで重要な役割を担っているのがISOOとISCAPである。情報保全監察局(Information Security Oversight Office)は、国立公文書館の部局として設置されている。情報保全に関する行政監察権限とともに、行政機関に対する機密解除請求権が付与されている[5]

省庁間機密指定審査委員会(Interagency Security Classification Appeals Panel)は、機密指定に関して重大な役割を担う行政機関の代表者(国務省、国防総省、司法省、国立公文書館、国家情報官室及び国家安全保障問題担当大統領補佐官から同委員会の構成員として任命された幹部レベルの代表者並びに必要に応じ中央情報局長官が指名する非常任の代表者)による合議制機関であり、審査請求に対する裁決等を行う[6]

そして、日本においても、アメリカにおける次のような秘密解除の仕組みを参考に、秘密解除の実効性のある仕組みを構築していかなければならない[7]

(1)自動秘密指定解除

情報の作成から25年が経過した各暦年の1231日に、当該情報の秘密指定を解除するもの

(2)体系的秘密指定解除審査

自動秘密指定解除を免除された記録に対して義務付けられているもの

(3)裁量的秘密指定解除審査開示による公益が秘密指定を継続する必要性より大きくなった場合、または、省庁が、情報の保全はもはや不要となり、早めに秘密指定解除できると判断した場合に行われる。

(4)強制的秘密指定解除審査

国民からの請求を受けて、情報の秘密指定解除を行うかどうかを直接的かつ特別に審査するもの

 ISOO「2015 REPORT TO THE PRESIDENT1014頁によると、2015年に自動秘密指定解除により秘密指定解除されたのは3,6042,022頁、体系的秘密指定解除審査により秘密指定解除されたのは706,859頁、裁量的秘密指定解除審査により秘密指定解除されたのは3708頁である。また、強制的秘密指定解除審査により、全体として秘密指定解除されたのが24717頁、一部解除されたのが109,349頁となっている。十分かどうかは置くとして、一定数の秘密指定解除がなされ、特定秘密とされた情報が事後的に検証可能な状態となっている事実が浮かび上がる。

 

7 秘密保護の刑事的規制について

<ジャーナリスト・市民を含む厳罰化>

特定秘密保護法においては、公務員が特定秘密を故意に漏えいする行為は懲役10年以下、過失で漏えいする行為は懲役2年以下の刑とされる(23条)。

公務員以外のジャーナリストや市民活動家も、「秘密を管理する者の管理を害する行為」を手段で取得すれば、懲役10年以下の厳罰が待っている(24条)。

 このような法律制度はアメリカやヨーロッパの実務慣行と異なるものである。アメリカでは、公務員が秘密漏洩の罪に問われることがあるとしても、ジャーナリストを罪に問うことは、憲法の表現の自由保障に反すると考えられ、訴追がなされてこなかった。

ヨーロッパでは、後述するように、ヨーロッパ人権裁判所の判例理論が、その保障を明確にしている。

 

<ジャーナリスト・市民活動家による秘密の公開>

ツワネ原則は、公務員が秘密を公にした場合に、それによる公益と秘密を漏らしたことによる不利益のバランスを考慮して、バランスがとれていれば処罰しないという考え方をとっている。この考え方は、ヨーロッパ人権裁判所で近時急速に発展してきた考え方である。

 「フレッソ(Fressoz)およびロワール(Roir)対フランス」事件では、二名のジャーナリストが、匿名の税務関係者による違法な情報漏えいを受けて、プジョー社の取締役の納税申告書を公表したことから、盗難資料を入手したとしてフランスの裁判所から贓物(ぞうぶつ)(不法入手物)犯罪で有罪判決を受けた。この取締役が2年間で45.9%の昇給を自らに与えていたことを示すこの二名のジャーナリストによる記事は、プジョーの労働者が昇給を要求して拒否されていた労使紛争のさなかに発表された。裁判所は以下のように判断し、両名に対して刑事罰を科すことはヨーロッパ人権条約10条に反するとした[8]

 「民主主義社会において報道機関が果たす不可欠な役割を認識しながらも、裁判所は、第10条がその保護を認めているという前提で、原則としてジャーナリストを通常の刑法に従うという義務から解放することはできないことを強調する」、「欧州人権裁判所は、フレッソとロワールが、透明性の高い方法で誠実に行動しており、納税申告書のコピーを入手するという犯罪行為が彼らの記事の信頼性を証明するのに必要であったと判断した」、「課税査定の真正さを検証したRoire氏は、ジャーナリストとしての自身の職業を遂行する(倫理)基準に従って行動した。個々の資料からの抜粋は問題となっている記事の内容を裏付ける目的があった」。

 公務員の情報漏洩行為が、外形的には違法行為でも、違法行為として責任を問うことがふさわしくないとヨーロッパ人権裁判所が判断した判例として2008年2月の「グジャ(Guja)対モルドバ」事件がある。

 このケースは、モルドバ検察庁の報道室長であったグジャ氏が政治家による不当な検察への圧力を証明するメモを事前の検察庁からの承諾なしに新聞社に渡したという内規違反で解雇されたことについてその解雇が「表現の自由」に違反しているかが争われた。グジャ氏はこの解雇は不当としてモルドバ国内で解雇取り消しの民事訴訟を起こしていたが認められず、その後ヨーロッパ人権裁判所に訴えていた。ヨーロッパ人権裁判所は以下のように述べ、グジャ氏の解雇は第10条違反にあたるとした[9]

「民主社会において政府の行為や怠慢については立法機関や司法機関だけでなく、報道機関や世論などの緊密な監視の下に置かれなければならない。ある情報に関して市民の関心が特に高い場合には、時に法的に科されている秘密保持の義務でさえくつがえすことができる」。

ヨーロッパのジャーナリストと市民活動家にとって、ヨーロッパ人権裁判所は自由を守る最後の砦となっている。

 

<共謀と煽動まで処罰する処罰の早期化>

秘密保護法は独立教唆(秘密を保有する本人がその気にならなくてもそそのかすだけで処罰)、共謀(二人以上が合意するだけで、秘密が漏れていなくても処罰)や煽動(集会などで政府の秘密を暴露せよなどと叫ぶこと)も取り締まっているので、特定秘密に触れるところまで行かなくても、嫌疑をかけられる危険がある(25条)。

このように、秘密保護法は、刑罰を厳罰化し、また処罰される時期を著しく早めている。この規定は、2017年に制定された「共謀罪法」と比較しても、組織犯罪集団の関与も、準備行為も必要なく、生身の共謀を処罰する規定であり、危険きわまりない立法である。

 

<秘密保護法違反事件の刑事公判は外形立証との攻防である

検察官は、秘密保護法違反事件において、いわゆる外形立証により有罪立証を考えるものと思われる。外形立証とは、秘密の指定基準が定められていること、当該秘密が国家機関内部の適正な運用基準に則って指定されていること、当該秘密の種類、性質、秘密扱いをする経緯、を立証するという方法である。つまり、特定秘密の内容そのものを明らかにすることなく、有罪判決を獲得するという立証手法なのである。その結果、問題視されている情報が、特定秘密の指定がなされているものなのか否か、秘密の要件を満たしているかどうかも含めて、検証不能に陥り、被告人の防御権が脅かされかねない立証手法である。

秘密漏えい事件において、いわゆる外形立証を許容した裁判例(外務省スパイ事件[10])がある。本件の第1審判決は、「秘密の指定の手続、秘密指定のあつた事項の種類、性質、秘密の取り扱いを必要かつ相当とする合理的な事由等を立証することによって右指定の実質的秘密性を推認させることも可能であ」るとの判断を示し、控訴審も、この判断を肯定した。

ただ、裁判所は、秘密漏えい事件において、必ずしも外形立証のみにて判決を下しているわけではない(ラストボロフ事件[11])。下級審判断として確立された状況でもなく、また、現時点において最高裁判所の判断も示されていない。

法律家としては、到底、外形立証を許容することはできない。外形立証が肯定されると、事実上、挙証責任が被告人に転換されることになりかねない。これは、無罪推定という刑事裁判の原則を蔑ろにしかねないのである。

また、共謀型など特定秘密の内容を被告人自身が把握できていない事件の場合には、被告人において、反証を実施するのは至難の業であり、防御権は著しく制約される。これは、被告人の防御権及び裁判を受ける権利(憲法31条、32条、37条、82条)を侵害しかねない。

 

<証拠開示が天王山の闘いとなる>

秘密保護法違反事件の場合、公訴事実上も特定秘密の内容が明確ではなく、どのような情報を漏えいした疑いをかけられているのか、不明確なものになるだろう。それゆえ、弁護人としては、防御活動をする上で、検察官に証明予定事実記載書を開示させることが欠かせない。しかし、証明予定事実記載書においてすら、特定秘密の内容が外形的部分にとどまるものと思われ、積極的な釈明を行使しなければならない。やはり公判前整理手続において、争点整理を進めていかざるを得ない場合も多いであろう。

弁護人は、検察官に対し、検察官請求証拠の開示後、証拠一覧表の開示を求めることができる(刑事訴訟法316条の14第2項)。検察官は、証拠一覧の開示請求を受けたら、交付義務を負う。証拠一覧表を入手したら、まず、特定秘密文書及び特定秘密指定管理簿が一覧表に挙がっていないか、確認すべきである。

検察官が任意開示請求を応諾しない場合、類型証拠の開示請求、「証拠物」(刑事訴訟法316条の15第1項1号)としての開示請求、検証調書ないし写真撮影報告書としての開示請求ができないかを検討しなければならない。

 弁護人は、上記特定秘密の具体化に資する証拠開示を求めるとともに、そもそも、証拠収集が違法ではないかとの観点から、確認をしなければならない。違法収集証拠か否かを判断する上で、第一次証拠の開示は、欠かせない。出所不明の証拠の場合には、XKEYSCOREやIMSIキャッチャーにより得た情報に基づき収集した可能性があることを念頭に置きつつ、検察官に、出所の経緯を開示するよう求めるべきである。

また、捜索差押令状の疎明資料に違法性はないか、捜索差押え過程において、違法がなかったか、この点についても、合わせて検討することになろう。

 

8 独立した第三者機関の不在

<二つの第三者機関>

政府の恣意的な秘密指定を防ぐためには、すべての特定秘密にアクセスすることができ、人事、権限、財政の面で秘密指定行政機関から完全に独立した公正な第三者機関が必要であることはツワネ原則(後に詳述)等にも定められているとおり、今日の国際的な常識である。しかし、法と運用基準が準備している二つの第三者機関は、いずれも不十分である。情報監視審査会には十分な権限がなく、独立公文書管理監には権限とともに独立性が欠けている。

 

<両院情報監視審査会について>

秘密保護法制定後の2014年6月20日、情報監視審査会の設置等を内容とする国会法等の一部を改正する法律が成立した。それに先立ち、2014年6月13日には、衆議院における特定秘密の取扱や情報監視審査会の運営に関わる衆議院規則の一部を改正する規則及び衆議院情報監視審査会規程、同月20日には、参議院規則の一部を改正する規則及び参議院情報監視審査会規程が成立した。この審査会は、201312月5日、自民・公明・維新・みんなの4党合意に基づく組織である。そして、これらは、20141210日に施行され、両院に情報監視審査会が設置された。

国会法102条の13は審査会に特定秘密の指定及びその解除の状況について調査することを責務として定めた。情報監視審査会は8人の委員で組織される(衆議院情報監視審査会規程2条、参議院情報監視審査会規程2条)。委員は、会期の始めに議院においてその議決により選任し、議員の任期中その任にあるものとされる(衆議院情報監視審査会規程3条1項、参議院情報監視審査会規程3条1項)。委員は、各会派の所属議員数の比率により、これを各会派に割り当てて選任する(衆議院情報監視審査会規程3条2項、参議院情報監視審査会規程3条2項)。情報監視審査会の事務を処理させるため、情報監視審査会に事務局が置かれている。

国会法102条の14は、情報監視審査会が、政府から、毎年、「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況」(秘密保護法19条)についての報告を受けることを定めている。国会法102条の15第1項は、「各議院の情報監視審査会から調査のため、行政機関の長に対し、必要な特定秘密の提出を求めたときは、その求めに応じなければならない」としており、情報監視審査会から行政機関の長に対する特定秘密提出の求めについて規定されている。国会法102条の16第1項は、「情報監視審査会は、調査の結果、必要があるときは、行政機関の長に対し、行政における特定秘密の保護に関する制度の運用について改善すべき旨の勧告をすることができる」としている。よって、特定秘密の指定及びその解除について不適切な事案がある場合にも勧告を行うことができる。

 

<内部通報者保護制度の整備>

両院の情報監視審査会の最新の年次報告書(衆院は平成29年、参院は平成28年年次報告書)によっても、両院の情報監視審査会が特定秘密の指定等についてポイントを絞った調査をなし得たとは言い難い。これは、委員において調査等の端緒となる有力な情報を取得する仕組みを欠いているからである。この点、調査等の端緒となる有力な情報が取得できるよう、審査会に対する内部通報者保護制度の整備が不可欠である。

 

<提示要求等をするための採決要件の緩和>

参議院情報監視審査会では、委員から、国家安全保障会議及び警察庁への提示要求動議が提出されたが、否決されている(参議院情報監視審査会平成27年年次報告書3頁)。

この点、衆議院情報監視審査会規程13条は「情報監視審査会の議事については、出席委員の過半数でこれを決」するとしており、参議院情報監視審査会規程13条にも同様の規定がある。

そもそも、委員構成は、議院の議席数に比例するのであり、政権与党の議員が委員の多数を占めることになる。よって、勧告の是非等という結論的な決定だけではなく、調査の途中過程における決定についてまで、全て過半数で決することとすると、政権与党の意向により十分な調査がなされないことにもなりかねず、政府に対するチェック機能は果たし得ない。情報監視審査会が厳重な保秘を行っており、情報監視審査会に特定秘密が提供されることによる支障が想定しにくいことも考えると、委員2名以上の賛成により特定秘密の提示要求をなし得るとするなど、その裁決要件の緩和を行うべきである。

 

<予算・人事についての権限>

衆議院情報監視審査会は、国家安全保障会議に対し、会議録等の審査会への開示を求めたが、開示を拒否されている(衆議院情報監視審査会平成28年年次報告書110頁)。

他方、アメリカの両院情報特別委員会においては、ほとんどの機密情報にアクセスできる。上院情報特別委員会(Senate Select Committee on Intelligence)及び下院情報特別委員会(House Permanent Select on Intelligence)は中央情報局(Central Intelligence Agency)をはじめ、情報活動に関わるすべての政府機関及び軍の情報活動を監視することを任務とする。これらの機関の予算授権法及び関連法案を審査することで、予算、組織等についても監視を行う[12]

政府は、現在進行中の情報活動(実行前のオサマ・ビン・ラディン殺害計画など)などについては委員長ら幹部にのみ情報提供するものの、その割合は5%ないしそれ以下でしかない(衆議院欧米各国の情報機関に対する議会監視等実情調査団報告書59頁の上院情報特別委員会グラニス首席補佐官発言)。つまり、かなり機微な情報にいたるまで委員がアクセス可能なのである。

これは、情報特別委員会が、情報機関の予算や人事について審査し得る立場にあることが大きな要因となっていると考えられる(上記報告書60頁の上院情報特別委員会グラニス首席補佐官発言)。

そこで、日本の情報監視審査会にも、特定秘密を所管する省庁の予算や人事についての意見や報告書を出す権限を与えることで、よりスムースな情報の提供がなされることが期待し得る。

 

<スタッフの充実>

アメリカの両院情報特別委員会においては、「情報機関が議会への報告なしに活動することのないよう、スタッフは、委員からの指示又は自らの判断により、毎日のように情報機関の職員と会い、また、秘密活動の計画が法律の枠内で行われているか精査する会議を開くなどして、情報機関が法に準拠し我々に情報を開示して作戦を行っているのかどうかをチェックし、怪しい動きがあれば事実解明を行っているようである」とされる(衆議院欧米各国の情報機関に対する議会監視等実情調査団報告書22頁。なお、同報告書11頁によると、上院情報特別委員会スタッフは37名、下院は38名である。)。

これらのスタッフの活動は、秘密指定の適否をチェックするためになされるものではない。アメリカの両院情報特別委員会のスタッフの大部分は諜報関連業務経験者である(上記報告書22頁)。そのことで調査が実効化される側面もあろうが、逆に、諜報部門の考え方に引きずられる側面もあると考えられる。日本では、両方の側面を考慮しつつ、特定秘密に関連する省庁出身者を、一定程度、ノーリターン・ルールの下で情報監視審査会のスタッフとして採用することが検討されるべきである。

 

<衆院情報監視審査会平成29年報告>

 2018年3月に公表された衆院情報監視審査会平成29年報告は、興味深い内容の報告であった。同報告は、重要な情報を指定している特定秘密文書にもかかわらず、保存期間を「1年未満」の扱いにすることで各省庁の判断だけで廃棄している現状は問題だと指摘し、政府内にチェック体制をつくるよう求めた。報告書によれば、内閣官房、警察庁、防衛省など6省庁は2016年の1年間に特定秘密文書44万4877件を廃棄していたとされる。それらは、いずれも保存期間1年未満だった。廃棄した文書の多くは、衛星写真など原本のある文書類の写しや暗号関連文書だったが、2万8272件は「別の文書に同様の情報が含まれる」ものの、写しではなかったとされている。報告書は、この点を指摘した点で、政権全体を覆う公文書破壊の風潮に対して、異を唱え、一年未満に指定できるのは写しだけであることを徹底させよと政府に求めている。

また、作成から30年を超える特定秘密文書について、その秘密として取り扱われてきた期間の長さを考慮し、保存期間満了時の措置を再検証の上、原則として歴史公文書等とし、保存期間満了後は国立公文書館等に移管することを検討することを求めている。

審査会は、独立公文書管理監の活動についても、これまで以上に厳しいトーンで注文を付けている。①実地調査を増やすこと。②主導的に文書を選定すること。③検証・監察の流れを具体例を用いて当審査会に示すことなどがそれである。

この情報監視審査会は、逆説的な意味ではあるが、国政に役立っている。まさしく、特定秘密の運用に関して、実効的な監視のシステムが存在せず、適切な監視が行われていないことを我々に教えてくれているからである。この審査会を強化する方が実効性のある監視システムに近づく途かもしれない。

 

<独立公文書管理監の設置>

秘密保護法の審議過程において特定秘密の指定が恣意的になされることが懸念されたが、そのため秘密保護法には附則9条が設けられ、「特定秘密の指定及びその解除に関する基準等が真に安全保障に資するものであるかどうかを独立した公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関」として、20141210日、内閣府に独立公文書管理監が設置された。そもそも、法の構想段階で第三者機関についてまともな議論がなされず、国会審議の過程で付則として急遽独立公文書管理監等を設けることとされた。しかし、その内容と権限は法律の中には全く定められておらず、詳細は単なるマニュアルにすぎない運用基準で定められた。その権限は以下のとおりである。

 

必要があると認めるときは、行政機関の長に対し、特定秘密である情報を含む資料の提出若しくは説明を求め、又は実地調査をする(運用基準(1)イ)。

行政機関の長による特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が秘密保護法等に従って行われていないと認めるときは、当該特定秘密の指定及びその解除をし、又は当該特定行政文書ファイル等を保有する行政機関の長に対し、当該指定の解除、当該特定行政文書ファイル等の適正な管理その他の是正を求める(運用基準V3(1)ウ、4(2)())。

特定秘密の指定及びその解除又は特定行政文書ファイル等の管理が秘密保護法等に従って行われていない旨の通報を受理し、必要な調査を行う

(運用基準V4(2)()及び())。

 

<独立公文書管理監等の組織と活動の限界>

独立公文書管理監の権限行使を補助する情報保全監察室は、室長である独立公文書管理監以下20名の体制で設置された。

平成29年3月31日までの活動について、第2回の報告がなされている。ここでは、特定秘密の指定について、警察庁、外務省及び防衛省において指定計5件が解除されたとしている。それ以外の105件の指定を適正と認めたとしている。

説明聴取、実地調査等の回数は170回、確認した特定秘密を記録する文書等の件数は507件とされるが、独立公文書管理監に対する内部通報はなかったとしている。

行政文書の数に比較して、実際に検証・監察がなされた件数は非常に少なく、十分な検証・監察がなされたとは到底評価できない。他方で、既に特定秘密が記録された文書は多数に上っており、今後も秘密指定の件数や特定秘密が記録された文書の量は増加の一途をたどることが想定される。このような特定秘密が記録された文書の量の多さを考慮すれば、現状の情報保全監察室の体制では不十分であることが明らかである。

 2018年7月には、政府は財務省の決裁文書改ざんなど公文書管理を巡る問題を受け、各省庁の文書管理を横断的に監視する局長級の新たな役職として、特定秘密を監視する内閣府の独立公文書管理監の権限を拡大して兼務させることとした。9月には、水戸地検検事正の秋山実氏(57)が起用された。独立公文書管理監をトップとする「公文書監察室」も9月3日に発足した。

しかし、そもそも、組織の独立性に根本的な疑念があり、制度的な独立性を保障し、秘密の恣意的な指定に目を光らせるという職業的使命感を持ったスタッフを確保する方途を講じなければ、この機関は絵に描いた餅に終わるであろう。

 

9 通報制度の不十分性

<全く機能していない独立公文書管理監への通報制度>

 運用基準において公益通報制度が一応作られたが、法律のレベルで規定されていない。さらに、内部通報を優先しており、また違法行為の秘密指定を禁止する法制を欠いているため、実効性のある公益通報制度と評価できない。そもそも一件の通報もないと言うことは実効性が欠けていることの証左である。

まず、通報者は、独立公文書監理監への通報よりも先に、行政機関の内部通報窓口に対する通報をすることが原則とされている。行政機関内部での事実上の報復を恐れて通報者が萎縮する可能性が高い。例外的に、行政機関の内部通報窓口を経ずに独立公文書管理監への通報ができる3つの場合についても、「不利益な取扱いを受けると信ずるに足りる相当の理由」「証拠隠滅等がされるおそれがあると信ずるに足りる相当の理由」「個人の生命・身体に危害が発生し、または発生する急迫した危険があると信ずるに足りる相当の理由がある場合」を、通報者において主張・立証すべきことになり、独立公文書管理監への通報を抑制するものとなっている。この通報制度は全く機能していない。

 

<公益通報制度との関係>

日本には、公益通報をしたことを理由に労働者(通報者)が解雇等された場合に、その解雇等を無効にするなどして通報者の保護を図る「公益通報者保護法」が存在する。そして、公益通報者保護法上の「通報対象事実」は、限定列挙ではあるという問題点はあるものの、多岐にわたる法令違反が対象とされているところである。公益通報者保護法による公益通報者の民事的保護と、秘密保護法によるによる特定秘密漏えいの刑事処罰とが、どのような関係にあるのかについては、法文上、明らかではない。

秘密保護法案審議段階の20131129日、国会の国家安全保障に関する特別委員会(議事録第10号参照)において、公益通報者を守ることが秘密保護法によって可能なのかと問われた際、担当の森まさこ大臣(当時)は、公益通報者保護法の適用があるとした上、「特定秘密についても違法行為が行われた場合にそれを公益通報する者が保護されるようにしてまいりたいと思います。」と答弁した。

しかし、秘密保護法には、行政機関の違法行為などを特定秘密に指定することを禁止する明文規定がない。公益通報者保護法上の「通報対象事実」に当たる情報が特定秘密に指定されることを禁止する明文規定もない。パブコメに付された秘密保護法の運用基準(4)イの原案では、特に遵守すべき事項として、「法令違反の隠蔽を目的として、秘密指定してはならない」とされていた。しかし、「隠蔽の目的」の有無という主観的な要素が重視されると、行政機関が、隠蔽の目的があるわけではないとして恣意的な秘密指定をするおそれがある。そこで、客観的に判断できるような基準にすべきであるという批判が寄せられ、パブリックコメントを経て、政府は、運用基準案を改訂し、「公益通報の通報対象事実その他の行政機関による法令違反の事実を指定し、又はその隠蔽を目的として、指定してはならないこと」(運用基準(4)イ)を明記するに至った。この運用基準の規定は、内部告発をする際の有力な法的根拠となり得る。

行政機関の公務の内容が違法である場合、当該公務の民主的な運営そのものが損なわれ、我が国及び国民の安全の確保という国家安全保障に関する民主的な政策の基盤自体も損なわれるため、そのような違法秘密は保護に値しない。以上の点は、外務省秘密漏えい事件[13]においても、「公務の内容が違法であって、当該公務の民主的な運営ということ自体が無意味である場合には、民主的運営の保障のための秘密保持義務は考えられない(中略)から、かかる公務に関する事項は国家公務員法にいわゆる『秘密』として保護する必要性を具備しないといわなければならない。」と判示されている。

しかし、秘密保護法の法文上に、行政機関の違法行為などを特定秘密に指定することを禁止する明文規定がないこと、及び、公益通報者保護法上の「通報対象事実」に当たる情報等が特定秘密に指定されることを禁止する明文規定がないことは秘密保護法の致命的な欠陥である。我々は、秘密保護法の廃止を求めてきたが、少なくとも、秘密保護法の法文上において、公益通報の通報対象事実その他の行政機関による法令違反の事実を特定秘密に指定することを禁止する規定、もしくは、公益通報の通報対象事実その他の行政機関による法令違反の事実が特定秘密に指定されていた場合に、当該特定秘密を漏らしても、公益通報として、処罰対象とならないことを確認する規定を、明文化することを求める。

 

10 人権侵害を生む適性評価

 適性評価制度は後に詳述するように、評価対象者やその家族等のプライバシーを侵害する可能性があり、また医療従事者などの守秘義務を侵害する可能性がある。

 秘密保護法では、適性評価制度が導入され、プライバシー侵害など諸方面からの批判がなされている。特定秘密に指定されても、その管理がずさんで、漏れてしまっては意味がない。例えば、特定秘密を扱う者が金銭的に困っている時に、外国の諜報機関に接触されて、資金提供を持ちかけられたら特定秘密を漏らしてしまうのではないかという恐れがないわけではない。そのような特定秘密の漏えいの旧称的な危険を防ぐために、特定秘密取扱者の身辺調査などをする「適性評価」という制度が導入されている。

しかし、適性評価は、評価対象者やその家族などのプライバシーに深く関わるものである。適正評価では、対象者の家族構成・同居人の氏名や国籍、犯罪歴・懲戒歴、情報の取扱いに関する非違行為の経歴、薬物の濫用、精神疾患、飲酒についての節度、借金などの経済状態といったことまで調査することになっている。例えば、家族が海外留学しているとか、花粉症で薬を飲んでいるとか、酒癖が悪いかどうかとか、車が趣味で数年ごとに乗り換えてローンがあるとか、そういったことまで調査することになるし、上司や同僚、知人にも質問ができ、金融機関に照会をかけて金銭の出入りまで把握することが可能である。適性評価について、苦情は出ていないということであるが(「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施の状況に関する報告」2016年4月)12頁参照)、そもそも適性評価を受けることに同意している者は、過剰にプライバシーを収集されても文句を言えない状況に置かれているのではないか。

2015年1月1日から20161231日までの2年間で適性評価を受けた人数は22機関で117,563人(特定秘密を取り扱う事業者の従業員3,488人を含む)である(前記報告の2016年4月26日報告・表5、同報告の2017年5月19日報告・表4参照)。その内訳を見ると、防衛省関係が圧倒的に多く107,441人であり、警察庁の3,495人、内閣官房の2,158人、外務省の1,992人、防衛装備庁の1,719人が続く。

上記の適性評価を受けた117,563人の内、適性評価で不適性とされた人数は1人である。また、適性評価を受けることを拒否した人数は46人であり、適性評価を受けることに同意をしたものの、その後同意を取り下げた人数は3人であった。つまり、特定秘密を取り扱うことになる可能性のある者(ここには秘密保護法施行以前に秘密を取り扱っていた者も含まれると考えられる。)のなかで、特定秘密を取り扱う業務から外されても構わないから適性評価を受けたくないと考えた者が49人いたということになる。

 適性評価はプライバシー侵害の程度が著しいことから、これを拒否したり、同意を取り下げたりすることも当然に予想されるものであるが、拒否や同意の取下げがあったからといって不利益に取り扱われることは許されるべきではない。現行法上、適性評価について苦情を申し出たことについては不利益取扱いが禁止されているものの(14条2項)、適性評価の結果それ自体や適性評価自体の拒否については不利益取扱いが禁止されていない。

 

11 結論

このように特定秘密保護法の問題点はあまりにも深刻なものである。国の安全を守るため、一定の事項を一定の期間に限って秘密とする制度の必要性が認められるとしても、市民やジャーナリストも処罰の対象としており、国の情報は国民のものであるという基本を無視している。情報を知ることができなければ、きちんと政治に反映できず民主主義に反し、憲法21条と自由権規約19条にも反する。特定秘密保護法はやはりいったん廃止するしかない。

 

付録 独立第三者機関の構想(三宅弘弁護士11.6院内集会レジュメより抜粋)

<スノーデン・ショックとドイツ>

この他に、スノーデン・ショックに関して、ドイツにおいては、アメリカ国家安全保障局(NSA)が多数のドイツ人の情報も秘密裏に収集していたことが発覚し、真相究明のために連邦議会にNSA調査委員会が設置された。調査の過程で、連邦情報庁(BND)もNSAの情報収集に協力していたことが判明した。従前、ドイツのBNDが、ドイツ国内から国外の外国人の通信情報、主にテロ対策としての中東やアフリカの通信情報を収集していたが、収集した情報のうち、NSAが指定した特定のキーワードを含むものは、NSAに流されていた。

スノーデン・ショックをきっかけとして、BND法が改正され、「第2章国外の外国人の通信情報の収集(Ausland-Ausland-Fermmeldeaufklärung)」が設けられ、通信情報収集の目的、対象、方法、収集に必要とされる連邦首相府の命令、外国の情報機関との協力などについて規定された。

さらに、国内における情報機関の通信情報収集は、連邦議会に設けられた「基本法第10条審査会」という小委員会が統制するのに対し、国外の外国人の通信情報の収集を統制することを目的として、独立委員会が連邦通常裁判所(最高裁判所に相当)に設置された。(渡辺富久子・「ドイツにおけるテロ対策法制とその変容」)。

 

<右翼過激派データベースのデータの削除>

また、2017年6月にドイツ個人情報保護の日弁連調査の際に、訪問先のNPO・ヒューマニストユニオンにおいては、ベルリン州データ保護コミッショナーが、警察と情報機関のデータベースを2年に一度審査することとなっており、これまで、右翼過激派データベースにつき、右翼過激派ではないにもかかわらず、その対象とされていたデータを指摘し、多くの人(何千)のデータが削除されたという報告を受けた。

ドイツでは、個人情報の保護と情報の自由のためにデータコミッショナーが連邦と州のレベルで選任されている。情報の自由は、連邦と州の情報公開法の適正な運用のための役割を担うが、個人情報の保護のためには、警察と情報機関のデータベースまで審査するという権限を有しているということは、その運用において刮目すべき点。

 

<国内人権委員会の設置案>

ドイツ連邦データ保護法24条に基づき連邦データコミッショナーは、行政機関に対する監督業務を行うことができるし、その立入調査によって、正確でない個人情報データベースを削除することも、権限としている。ベルリン州のデータ保護法においても、同様の権限を有している。

ナチス・ドイツの反省に根ざしたこれらの運用は、日本においても、いわゆる共謀罪法成立後、法律の廃止を求める運動と共に、市民監視の対策として検討されるべき課題。

この点について、民主党政権下の2012年人権委員会設置法案として提案されたような、国内人権委員会を設置すべきであるという提案がある(小池振一郎「共謀罪法と国内人権機関」日弁連・国内人権機関実現委員会ニュースNo.04(2018年1月1日)。

 

<個人情報保護委員会の権限拡大案>

個人情報保護委員会は、民間における個人情報の取扱いを監督するだけですが、いわゆる三条委員会として、公正取引委員会などと同様の法的基盤を有するものであることから、ヨーロッパ、ドイツを参考に、このいわゆる三条委員会が公的機関を所轄して、立入調査権を行使するという提案。

→行政機関個人情報保護法の改正、加えて、同法10条個人情報ファイルの保有等に関する事前通知

―同条2項2号で犯罪の捜査等についての個人情報ファイ

ルの事前通知は除外されているが、その除外の廃止が必要

情報自己決定権やIT基本権の保障を宣言し、私的領域への侵入を厳しく規制しようとするドイツ連邦憲法裁判所のラスター捜査(網羅的な電子的個人データ照合)やオンライン捜索(私人のコンピュータに侵入してその中の情報を入手する捜索)に係る判決、さらにはこれを受けての連邦と州の議会による関係法令の改正による憲法適合性ある立法的解決という手法をも検討すべきことを、司法が立法府に提言したものとも考えるべきか。



[1] 2016年2月18日付「情報自由基本法の制定を求める意見書」

[2] デイナ・プリースト、ウィリアム・アーキン著(草思社、2013年)323

[3] メディア総合研究所の暫定訳(2017年7月)http://www.mediasoken.org/ page20170719.phpよりダウンロード

[4] 国立国会図書館調査及び立法考査局行政法務課「諸外国における国家秘密の指定と解除特定秘密保護法案をめぐって」(調査と情報806号(20131031日)

[5] 前掲「調査と情報」6頁

[6] 前掲「調査と情報」6頁

[7] 衆議院欧米各国の情報機関に対する議会監視等実情調査団報告書に添付されていた「2012 Annual Report to the President9頁の翻訳による。

[8] FressozおよびRoir対フランス」、1999121日、申請No.29183/95 欧州人権裁判所

[9] Guja対モルドバ」、2008212日、申請No. 14277/04 欧州人権裁判所

[10] 東京高判1969年3月18日(判タ236213頁)

[11] 東京高判1957年9月5日(判時124号1頁)参照

[12] 前掲「調査と情報」6頁)

[13] 東京地判1974年1月31日(判タ30691頁)



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